今日は、炭鉱の町、夕張について語ります。
北海道の夕張市内にある炭鉱で栄えた町の話なのですが、最盛期には1000世帯あった町が、今は9世帯のみの寂れた集落になっているそうです。
私が訪れた時(2002年)は、まだ人が住んでいる家がたくさんあったのに、今は9軒のみだなんて・・・
夕張市は、19世紀に炭層が発見され、炭鉱の町として発展してきました。
1960年頃から、北炭夕張炭鉱、北炭平和炭鉱、三菱大夕張炭鉱の3つの炭鉱を初め、石炭関連鉱業が次々と発達し、最盛期には人口12万人近くの年にまで発展しました。
しかし、エネルギー革命や国外の安価な石炭の流入により、国産の石炭の需要が下がり、夕張炭鉱は閉山を余儀なくされます。
1971年の北炭夕張炭鉱第二砿の閉山、1973年の北炭夕張炭鉱第一砿および大夕張炭鉱の閉山、1977年の北炭夕張新第二鉱閉山、1980年の北炭清水沢炭鉱閉山、1982年の北炭夕張新炭鉱閉山と次々と鉱業所が閉鎖し、1990年の三菱南大夕張炭鉱の閉山を最後に、炭鉱の町夕張は幕を閉じます。
しかし、夕張の炭鉱の歴史をテーマパークにすべく、1978年に石炭の歴史村工事に着工。総工費112億円の巨大プロジェクトです。市は、1983年にテーマパークをオープンさせます。
時はバブルの最盛期、夕張市もバブル経済に乗り、夕張市長自ら作詞をし、歌った『めろん酒』なるレコードも発売。
映画『幸せの黄色いハンカチ』の撮影地として知られる夕張市は、1991年には、町おこしの一環として、
ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭を開催。
そのときの名残が、
こちらです。
『幸せの黄色いハンカチ』で使用された廃屋(写真)も、保存されて残っていますが、こちらは観光客がまだまだたくさん訪れていました。
石炭の歴史村の総工費は112億円といわれています。
そのうち、遊園地施設が18億6000万円かかっていますが、閑散としている石炭村の観覧車は雨漏りするほどメンテナンスが行き届いていないのだとか。
ロボット大科学館(総工費8億4000万円)のロボットたちも今はただの展示物と化しているそうです。(以前は、ちゃんと動いていたのだとか)
世界の動物館が4億6000万円、シネマのバラードが6億5000万円、石炭博物館が14億8000万円など、とにかくバブルな投資価格です。
これらの施設の過大な投資と放漫な経営により、市の財政は悪化の一途を辿ります。
その後、借金で前年度の借金を補填するという雪だるま式の借金をしていき、その利息が積み重なり、ついに、632億円の借金を抱え、2006年に夕張市は財政破綻しました。
財政再建団体になったのです。
この財政圧迫ゆえに、住民税の値上げ、公共料金の値上げ(水道料金値上げやゴミ収集の有料化)や除雪作業の回数減少、市立病院のサービス縮小化などが懸念され、多くの市民が他の自治体に移住していきました。
その結果が、9世帯のみの集落なのです。
夕張市は、現在、全国で3番目に人口の少ない市としても知られています。
炭鉱閉山のよる過疎化や大規模ダム建設による立ち退きなどの要因もありますが、やはり、この財政状況だと先行き不安になってしまうのでしょうね。